建設技術展2023近畿にて紹介した動画,パネル
技術セミナー2023
UFC床版に関する最新情報をセミナーでご提供しました(2023/1/26).
こちらのページで資料や講演動画を公開しています.
UFC床版について
開発が進んだ都市部で高速道路橋を計画する際には、橋脚の位置や基礎の規模が制約されたり、非常に短い期間での建設が要求されたりすることから、軽量な鋼床版の使用頻度が他道路と比べ相対的に高くなっていますが、近年、既設橋においてはさまざまな要因による金属疲労き裂が顕在化しています。新設橋梁においては構造改良によってリスクの低減がはかられていますが、舗装の損傷など付随した懸念も残されています。また、鉄筋コンクリートを用いたRC床版についても、古い基準で設計された薄い床版などにおいて、大型車から繰り返し受ける負荷により、ひび割れ等の損傷が顕在化しています。
そこで、阪神高速道路㈱と鹿島建設㈱は、軽量かつ高耐久なコンクリート系の道路橋床版の開発を目指し、床版の材料に超高強度繊維補強コンクリート(UFC: Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)を使用した道路橋床版の共同研究を2011年から開始しました。そして、詳細な解析による試設計、および輪荷重走行試験等の実験を行い、優れた疲労耐久性を実現したUFC床版を開発しました。
UFCはセメント、骨材(粒径2.5mm以下)、水、混和剤、鋼繊維(径0.2mm、長さ15~22mm)から作られる「繊維補強セメント複合材(FRCC: Fiber Reinforced Cement Composites)の一種のコンクリート系の新素材です。海外ではUHPFRC(Ultra-High Performance Fiber Reinforced Concrete)と呼ばれています。圧縮強度が150N/mm2以上と従来のコンクリートの4~5程度大きいため、超高強度なUFCの特徴を活かした極めて薄く軽量な床版です。
工法、工程
開発したUFC床版には、ワッフル型と平板型の2種類があります。ワッフル型UFC床版は、2方向にリブがあるワッフル形状の超軽量なUFC床版で、床版の質量は鋼床版とほぼ同等でRC床版の約1/4です。ワッフル形状の最も薄い部分の厚さは40mmです(リブを含む厚さは約120mm)。一方、平板型UFC床版は、平板形状の軽量なUFC床版で、床版の質量はRC床版の約1/2です。平板の厚さは支える桁の間隔によりますが、一般的な橋梁の桁間隔の場合は、厚さ約120mm~150mmです。
RC床版取替え工事への適用
RC(現場打ちコンクリート)床版の取替え工事への適用を想定し、UFC床版としての試設計、各種基本性能の確認を行いました。旧基準で設計されたRC床版には現行基準よりも薄い厚さ180mmの床版もあります。現行基準によってPC床版等を設計すると240mm程度とする必要があるため、床版が厚くなることによる路面高さの変更や、床版を支える鋼桁、柱、基礎構造に補強が必要となる可能性があります。
しかし、UFC床版は厚さを150mmと従来のRC床版より薄くすることができ、路面高さを変更する必要がなく、重さが増えないことから柱や基礎の補強が不要となります。
床版の取替え工事中は鋼桁のみで床版の重量を支える必要があるため、鋼桁の補強が必要となりますが、従来のRC床版より薄く軽量であるため、鋼桁の補強量を60%に低減することができ鋼桁の補強にかかるコストが縮減されます。
UFC床版の高い耐久性(長寿命)
UFC床版について、合計20万回の車輪を走行させる輪荷重走行試験を行い、床版に損傷がなく健全であることを確認しました。これは阪神高速道路で実測された車両通行の100年分以上に相当するものです。
また、UFCは組織が非常に緻密であるため、通常の高強度コンクリートの約100倍、塩化物が浸透しにくく、鋼材の位置まで塩化物が浸透するのに約3倍の年数がかかるほど長寿命です(経過年数300年に相当。したがって、構造物を建設および維持管理するのに必要となる費用であるライフサイクルコスト(LCC)の面でも鋼床版やRC床版に比べて極めて優れています。
受 賞
土木学会
日本コンクリート工学会
プレストレストコンクリート工学会
日本建設連合会
参考資料
対外発表論文・報文
外部評価
- 土木学会技術評価(第0017号)
- 新技術情報提供システムNETIS(KK-190043-A )
外部リンク
- 公益社団法人土木学会
- 土木学会技術推進機構
- 第0017号 超高強度繊維補強コンクリ-ト(UFC)道路橋床版
- 国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)KK-190043-A
- サクセム研究会
- PCダクタル研究会
お問い合わせ
UFC道路橋床版研究会に関するお問い合わせは、こちらのフォームからご連絡下さい。
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